米国のベネフィット
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ベネフィットの種類 (例)
アメリカでは、会社として必ず提供しなくてはならない法定のベネフィットと会社の裁量で提供するベネフィットがあります。法定のものとしては、Social Security(社会保障)、Workers‘ Compensation(労働災害保険)、Unemployment Insurance(失業保険)などがあり、会社の裁量で提供するベネフィットとしては、団体医療保険やリタイアメントプランが一般的ですが、近年では他社との差別化を図るために様々なベネフィットプランが考案されています。
団体医療保険 (Medical Insurance)
会社の裁量で提供するベネフィットの代表格である団体医療保険ですが、従業員50人以上の組織に関しては、ACA (Affordable Care Act =通称: オバマケア)のもと、組織としてのベネフィット導入および従業員に対するプランの提示義務があります。保険プランは全員に対して平等に提示する必要があるため、役職や勤務年数によって内容が異なる事や保険料の負担率が異なる事はNGとなっているので、注意が必要となります。
例えば、「管理職以上の人はプレミアムプラン、一般社員はライトプランしか加入できない」といった形にするのはNGな一方で、「管理職も一般職もプレミアムプランとライトプランが選べる」という事であれば問題無く、「管理職の人は保険料の会社負担率が100%で、一般職は50%」などとする事はNGで「プレミアムプランの保険料負担率は80%で、ライトプランは100%」などとする場合は問題無いという事もあり得ます。(NG事項の詳細は、ご契約されている保険ブローカーにご確認ください)
医療保険の付与率
アメリカでは50人未満の組織は団体医療保険ベネフィットの導入義務が無いため、保険の付与率は組織の人数が50人を超えるか否かで大きく異なっています。また、保険加入も自分の勤務先では無く配偶者の勤務先のプランに配偶者として加入する事もあるため、50人以上の組織でも保険付与率がなかなか100%にならないと考えられます。
在米日系企業の保険付与率は米系のデータとは異なり、50人未満の組織でも付与率が高い状況にありますが、これは在米日系企業のアメリカ拠点の人数は多く無いものの、日本本社の規模を踏まえ、アメリカの数百人~数千人クラスの相場と同等になる様にしているためと考えられます。
医療保険料と負担率
2019年のアメリカの医療保険料の年間平均は、個人プラン(Single Coverage)は前年から4%上昇して$7,188、家族プラン(Family Coverage)は前年から5%上昇して$20,576となっています。家族プランに関しては、10年前の2009年と比較すると54%の上昇、5年前の2014年と比較しても22%上昇しているという状況です。
それに対して在米日系市場では、2019年の保険料は前年に対して、1-5%上昇した所が全体の38.2%、6-10%の上昇が全体の30.0%、11-15%の上昇が全体の8.4%、16-20%の上昇が全体の3.0%、21%以上:の上昇が全体の2.2%とされています。
医療保険料の上昇は今後も続くとされている中で、アメリカでは「Wellbeing」がキーワードとなっています。Wellbeingとは「健康/幸福な状態」という意味で、健康でいるあるいは心配事を無くすという事で、禁煙/減量/健康促進プログラム・出産/育児休暇・フレックス勤務・お金の問題解決など、様々な側面からのアプローチがあるとされています。これには、心身の健康が業務の生産性向上に繋がるという部分はもちろん、健康であれば保険を使用する機会が減少し、翌年度の医療費の上昇抑制にも繋がるという事で、組織のベネフィットをWellbeingと結びつける動きが広まっており、現在、アメリカの53%の組織がこの考え方に沿った考え方をしているとされ、向こう2年で76%になるとされています。
リタイアメントプラン
退職後の主な収入源
・公的年金(Social Security): 日米年金協定によって日本と米国双方から取得可能
・個人積立口座: 401(k)、IRAs (Individual Retirement Account)
・私的/個人年金 (Immediate/Deferred Annuity)
・企業年金 (Pension)
・Brokerage Accounts: Mutual Funds, Bonds, Stocks, CDs (Credit Default Swap)
・家賃収入 (Rent Income)
・生命保険の“Cash Value”からの引き出し
・サイドビジネスからの副収入
401(k)とIRAの種類
Traditional 401(k)
いわゆる企業型401(k)で、Pre-Tax 401(k)とも呼ばれています。401(k)口座への拠出は給料から天引きによって行われ、天引きされた残りの給料に対してのみ連邦所得税(Federal Income Tax)がかかるため、従業員にとっては所得税が安くなるメリットがあります。将来年金を受け取る際には税金がかかりますが、通常退職後には他の収入があまりないため、現役時代の頃に課税されるよりも割が良いと考える事ができます。
Roth 401(k)
民間企業で通常401(k)と同様に一般に提供されている制度。これはTraditional 401(k)とは異なり、拠出額を非課税扱いにする事はできない一方で、将来年金を受け取る際に全額非課税扱いとなります。(運用益の59歳半前の引出しには罰金があります) こちらの場合も会社がマッチングしてくれます。個人は同時に拠出可能な(すなわち現在の勤務先の)通常401(k)とRoth 401(k)の両方を持つことができるものの、年間の拠出限度額は両者の合計で制限されています。
Traditional IRA
IRAは Individual Retirement Agreementの略で、個人の退職年金プランの一つです。401(k)を導入していない企業の従業員、自営業の人のためのものであり、銀行などで開設する事が可能です。Traditional IRA は、Traditional 401(k)と同様の課税処理の個人型プランとなっています。
Roth IRA
Roth 401(k)と同様の、課税処理の個人型版と定義できます。ちなみ”Roth”とは、立法に関わった議員の名前になります。
401(k)
福利厚生の一部として企業が提供する、退職後に引き出す事を前提とした預金の様なものであり、勤労者の50%以上が利用している人気の福利厚生です。
401(k)の名前は、米国の税制を規定する「内国歳入法(Internal Revenue Code : IRC)」の条文に由来します。この法律に401条(k)項が追加されたのが1978年で、一定要件を満たす確定拠出年金の掛け金に対して所得控除(非課税)を認めるというものです。1980年に施行ルールが決定されて以降、大企業を中心として普及がまり、1986年の税制改革で更に優遇措置が導入された事で、拡大に拍車がかかりました。従業員が名実共に自身の退職基金口座を維持する事によって、退職後の生活資金に関する自助意識を高める事ができ、相対的に社会保障の様な公的年金や公的扶助に対する依存度が低下する事が期待され、個人にも税制優遇で自助努力を奨励するという、アメリカの典型的な伝統的政策です。
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